輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁
「なに、わしを不愍だと。何のことじゃ、それは」
漠然と、ただ揶揄されたように受け取ったらしい。憤ッと色をなして、
「病人など恃りにすな」
と、老臣を叱咤した。
いや、そうした往復に、日を過している遑もなかった。すでに織田軍の大兵は、木曾川の渡渉を開始し、斎藤家の軍勢とのあいだに、猛烈な河中戦が捲き起されていた。
刻々に、稲葉山城へは、
「お味方不利」
と、ばかり告げる敗報が来た。
龍興は、不眠症にかかって、眼も常に澄まない色をしていた。
城内も俄然、混雑と憂色にあふれて、彼は、本丸の桃園に幕をめぐらし、床几をすえ、綺羅びやかな武具と直臣をまわりにいっぱい置いて、
「軍勢が不足なれば、諸郡へ向ってさらに催促を重ねい。城下の兵力は十分か。浅井家へ味方を借らずともよいか。大丈夫か」
恟々と声ばかり疳だかく、むしろ士気を自分の動悸と共に怯ますような言葉をしばしば口すべらせた。
心ある老臣は、龍興のそうした心理を武士たちに反映させまいと始終、傍らにいて苦心した。
夜に入ると、もうこの稲葉山から見える距離まで、戦いの火は西進して来た。――攻め入るに従って、民家に火を放ってくる織田軍の焔の潮だった。