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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁
「よい御領主よ」
村中は、生ける氏神が降って来たように、遠くから彼を拝した。氏神様は、陽気な性質とみえて、家来や村人を相手に、頻りと話しかけたり笑ったりしている。
そのうちに、並木端れまで出ていた家来の二、三が駈けて来て、
「御老母さまのお列が、はや彼方に見えて参りました」
と、注進する。
「おお」
藤吉郎の面には、つつみきれない歓びが耀いた。
民家の軒下を立って、並木口まで彼は歩いた。もう、母の駕籠は、ついそこに来ていた。
附き添いの武士たちは、出迎えに出ている主人の姿を見ると、一斉に馬から降りた。
蜂須賀彦右衛門は、すぐ老母の駕籠わきへ寄って、
「藤吉郎様が、わざわざこれまでお出迎えに来ておいでなされます」
と、告げた。
「おお……」
駕籠のうちから、もう懐かしさがいっぱいな老母の声だった。
「降ろしてたも。――降りましょう」
いう言葉さえ忙しかった。
駕籠を停める。
武士たちは、左右に膝を折って、一様にみな頭を下げた。
寧子は先に、乗物を出て、老母の駕籠の側へ寄って手を取った。――と、その老母の足の先へ、急いで草履を揃えた侍の顔をふとみると、それは良人の藤吉郎であった。