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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁
――そういわれて、藤吉郎もまた、改めて歳月が顧みられた。
けれど彼には、夢のような――とは感じられなかった。はっきりと現実の歩みを過去にも見るのだった。ここへ来た今日の日は、当然、行き着いた道中の一宿駅という気もちなのである。
「おめでとうござりまする」
「およろこばしゅうござりましょう」
いつとなく、領主が母を郷里から迎えたのだと知れ渡って、村の老幼はここへ集まって来て、遥かから土下座して祝いをのべた。
餅をついてくる。
茶を煮てささげる。
また、古い鈴を持った媼が、めでたい舞とか、土俗的な舞いぶりにつれて唱歌したり――村中をあげての歓待であった。
しばし休んで、駕籠と馬と人の列は、やがてまたそこを立って、洲股へ向って行った。
「おお、きれい!」
「きれいなお駕籠」
散る銀杏の葉の光と、秋の陽の中で、子ども達は、囃しながら踊っていた。
平和だった。
武士が列伍を組めば、忽ち、火は空を焦がし、矢弾は地をゆるがすのが、この頃のあたりまえだったので、子どもらの眼にも、それはまたなく綺麗に見えたものであろう。
やがて。
洲股の城が見えた。
白い夕靄のうちに、本丸の灯が三つ四つきらめいていた。