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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁
「その隣交はまず何処の国とむすぶがよいか、二人の意中を、試みに紙片に書いて、見合わせようではないか」
藤吉郎のことばに、
「では、愚考を」
と、半兵衛が先に誌して出すと、藤吉郎も懐紙へ一筆つけて取り換えた。
披き合ってみると、
甲州
甲斐武田家
と、符節をあわせたように、一致していた。
「あはははは」
「ははは」
二人は笑った。――二人とも同じことを考えていたことが愉快だった。
藤吉郎は、それと共に起って、夜食を共にしようと、半兵衛を促した。
客殿に煌々と燭が燈っていた。岐阜城の使者を上座に、母堂や奥方の寧子などもいて、客をもてなしているのだった。
「やあ、失礼いたした。ひどくお静かではないか。お使者どの、どうぞおくつろぎ下さい。こよいは一つ充分に」
彼が坐ると、燈もにわかに華やいで、席は陽気になった。
この頃の良人は、前から見るとだいぶ酒量もすすんでいるらしい。――寧子はそう思いながら、良人の円転滑脱な酒席ぶりを、見ない振りして眺めていた。
客を歓ばせ、老母を笑わせ、そして自分自身を、実に楽しんでいる彼であった。藤吉郎のそうした姿を見ると、酒とは縁のない半兵衛さえ、つい、杯の縁に唇ぐらいは触れてみたくなった。