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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁
「織田家のお使者。殿が会おうと仰っしゃる。お乗りなさい」
と、下から云った。
藤吉郎は、駒と郎党一人を、そこに残し、ただ一人、それへ乗った。
城内の通路は、左右、槍ぶすまであった。餓死しても守りきると覚悟している城内の将兵だけに、一人の藤吉郎を見ても、その眼は殺気立っていた。
櫓の下辺りに、城主山路弾正は床几をおいて待っていた。
藤吉郎は、敵の主将を、初めて間近かに見たが、会うとすぐ、
「正直な人物らしい」
と、好感を持った。
山路弾正も、悪びれぬ彼の態度に、案外、好意のある面を示していた。――お互いが戦場というものをおいて、対峙すれば、夜叉ともなり鬼神ともなるが、人間として、肌近く会うとなると、そんな眦をつりあげていられないのみか、かえって非常な親しみさえ覚えるものだった。
英雄英雄を知る――という瞬間の感能も勿論その中に働いていた。
「最前は、無礼なことを申しあげたが、おゆるしねがいたい」
挨拶の後で、藤吉郎がいうと、弾正は、武人肌というのか、至極あっさりと、
「いや、無礼はお互いだ。こっちで笑ったから、お身も笑ったのであろう。単身、敵の城下へ来て、笑えないものだ。