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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁
名器
そして、等しく、
「それは大変なことになりましたなあ。何しても御心配でしょう。どういう罪で、お曳かれになったのか、それが分らぬうちは、御陣所へ嘆願にも出られぬし……」
茶事どころではない。宗易の家族から、事情を聞いた人々は、やがてそうした凶事が、同じ十人衆として名を連ねている自分らの身にもふりかかって来るのではないかと、色を失って、嘆息の体を並べていた。
薩摩屋宗二、油屋紹佐、銭屋宗納などというこの土地の旧家、豪商の主人たちが、客の顔ぶれであった。
あわただしく、そこへ、
「どうも、まことに失礼をいたしまして」
戻って来た道安が、一応、人々へ挨拶を施してから、
「ご足労をかけぬうち、皆様の方へも、早くお知らせ申し上げればよろしゅうござりましたに、つい、うろたえの余り、父の居所を探す方へばかり気をとられておりましたので」
詫び入るのを、客は皆、口をそろえて、それどころではないと、慰めた。そして、
「宗易どのには、いったいどういうかどで、御陣所へ引っ立てられたのでしょうか。何ぞ、お心当りはありませぬか」
と、こもごも、憂いを湛えて訊ねた。
「さ。それが、少しも合点が参りませぬ。