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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁

青空文庫

「おう……。これはよう」

宗易は、息をのんで見まもっている客たちの方へ、そのまま足を移して来た。

「凡ならぬ時節がらの中を、こよいは曲げてお越しくだされ、一しおありがとうぞんじまする。実は、出先にちと不測の事が起りまして、十河殿の御陣所へ捕われてゆき、そのため、お迎えの礼を欠きました。おゆるしの程を」

彼のあいさつは、もう茶事の亭主として、客を迎えているのであった。

客はなお、唖然として、何を問うことも、できなかった。

宗易は、次に、自分の後ろに立っている警固の武者へ、

「しばらくの間、あちらにて、お控えねがいとうござる。――それとも、茶席にお入り下さるなれば、お客方と御一緒に、一ぷくさしあげますが」

と、いった。

眼と眼を交わして、何か囁いていた武者たちは、

「しからば、木戸の口と、母屋の出入口とに、見張っておるぞ。早くすませよ」

云い捨てて、立ち去った。

「……どうぞ、お寛ぎあって」

と、宗易は、客を元の座に招じて、それから改めてまた、

「毎日、町のために、ご心労でござりましょう。わけてこういう際は、誰しもつい顛倒して、よい思案のあってよいお人まで、かえって出ないものでござる。