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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁

青空文庫

お互いが、茶の幽寂の中から、堺の町を、どうしたら救い出せるか。冷静に、考え合ってみる時ではないか。そう存じましたので、風雅が主ではございませぬが、茶事を利用させていただいたわけです。……しばし、失礼いたしますが、その間に、篤と、皆さまのご名智をも、お整え置きくださいますように」

宗易は、そういうと、席の支度に立ちかけた。

「あ。……もし」

客のひとり油屋紹佐は、一同になり代って、茶もいただきたいが、それ以上、あなたの今夜の境遇が、実に案じられる。御帰宅はあっても、まだ陣所から附人の武者が附いているのは、どうしたわけであるか? ――まだ罪をゆるされてお帰りになったわけではないのか? ――それから先に安心させて下さいと訊ね始めた。

すると宗易は、

「今は、堺の町全体が、どうなるかという別れ目です。堺港が灰となるのは、まだ惜しみませんが、これは国家の大きな損失となりましょう。――わたくし一身の安危など、些細も些細、お心にかけていただく程のものではありません」

そう笑って、しかし――と、また云い足した。

「お心懸りになっては、折角の茶にも障りますから有態申し上げましょう――実は、お察しの通り、真に免されたのではございませぬ。