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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁

青空文庫

羽柴筑前守、前田又左衛門、福富平左衛門、佐々内蔵介――それらの若い部将の隊伍の力づよい足なみも一頻りつづいた。

「なんと、鉄砲の多いことだろう」

これは沿道の領民も驚いたことであるし、徳川家の将士の眼には、なおのこと羨望措く能わないものであった。

兵三万のうち、鉄砲隊所属の銃手だけでも、一万人近くいた。そして小銃の実数は、五千挺ぐらいあった。

巨きな鋳物の砲筒も曳っ張って行った。

それと――もっと奇異に感じたことは、小銃を持たない徒歩の兵は、ほとんどといっていいくらい、誰も彼も、一本ずつの柵木をかつぎ、柵を結ぶ縄を併せて携えて行ったことである。

「あんなに、棒杭を持って行って、どうするんだろう?」

と、百姓町人は、織田家の作戦をいぶかった。

同じ朝、やや時刻をたがえて、前線へ向って行った徳川軍は、これこそ本軍であるが、数はわずか八千に足りなかった。

ただ劣らないものは、士気であった。――織田家にとっては、ここは客土であり援軍に来た地であったが、徳川家の将士には、祖先の地だった、一歩も敵に踏ませてならない地だった。断じて退く後方を持たない、絶対の地であった。