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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
「これ、これッ、忠次。何をいうか、何をッ。……かかる大戦に、そんな小策など、何の役に立とうぞ。さてさて汝は烏滸なる男かな、いで、一同も退出退出」
信長はそう叱りつけたのを機にして、評議の散会を宣した。酒井忠次も面目なげに、人々と共に退席した。
人々がみな去ったあとで、信長は家康に向って、こう云い直した。
「ただ今は、ちと思う仔細のあれば、諸将列座の中にもかかわらず、徳川殿にとっては大事な良臣、酒井忠次をいたく叱りつけたが、おゆるしあれ、決して彼の面目を心からつぶしたわけではない。――彼の献言、その謀、至極妙と存じたゆえ、敵に洩るることを惧れて、却って、あのようにわざと叱ったわけでした。あとで貴所からよく宥って遣わされるように」
「いや、折角の妙計を、味方ばかりの席とはいえ公言いたしたのは、やはり忠次の不注意に相違ござらぬ。彼にもよい薬、家康にも学ぶところがありました」
「しかし、咄嗟に自分が、一喝に否定したので、味方の者どもも、よもや忠次の策が採用されようとは思いも寄るまい。――貴所はすぐ忠次を召されて、彼の望みどおり鳶ヶ巣への奇襲をおゆるしなされたがよい」