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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
が、それは開戦ではなかった。
ひどい吹き降りの中を、全軍雨を冒して、茶磨山附近まで移動したのである。もちろん本営もそこへ移った。
それから夜明けにかけて、全軍の兵は、蜿蜒と百足虫のような長い柵を結い廻しにかかった。一本の杭を打ち込むにも位置や深さの法則があった。柵そのものも兵と同じく布陣の中にある重要な戦闘員と視られている。
二段柵、外開き、迷路、算木組みなど、様々な様式があるらしい。はや暁に近く、信長が馬上で巡視に来た頃は、すでに雨もあがり、柵の工も終っていた。
「見られよ。きょうこそは、甲州の敵どもを寄せつけて、練雲雀のようにして見せ申さむ」
信長は、徳川家の諸将をかえりみて、にこと微笑しながら大言を吐いた。
(――そうはなるまい)
と、誰も思った。強いて自分たちを勇気づけるものと解していた。
けれど今になってはっきり分ったことは、岐阜の兵が、岡崎を立つ時から、全軍すべての兵に、各※(二の字点、1-2-22)一本の杭と縄とを担わせて戦場へ向って来たことである。
(あんなに大兵の悉くが杭や縄を携えて行ってどうするのか)
と疑って見ていたものだが、三万本の杭は今、一夜に長蛇の連柵となって、夜の明けないうちに、