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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁

青空文庫

「そうだな」

と、秀吉は、悠長だった。

彼の眼は、姫路へ来てから、中国全般を観ていて、一上月にのみ集注されていなかった。――で、こんな返辞が出るものとみえる。

「誰をつかわしましょう。このたびは、ちと難攻と思われますが」

「幸盛を遣るに限る」

「鹿之介ですか」

「官兵衛は、どう思う?」

黒田官兵衛は、それに答えて、至極でしょうと、賛意を表した。

命をうけた山中鹿之介は、

「ねごうてもない倖せ」

と、夜のうちに、勢を揃えて、上月城へ押しよせて行った。

極寒、十二月末だった。

鹿之介の部下は、鹿之介幸盛と志をともにし、

(誓って、毛利を討ち、旧主尼子氏を再興せん)

と、いう義胆の者ばかりといっていい。

その点、この一部隊には、一貫している強烈な精神がある。

一党には、

尼子助四郎、寺本半四郎、秋上甚介、立原久綱など、世に聞えた尼子浪人が、七、八百騎はいた。

「なに、尼子の一党が襲せて来ると?」

「山中鹿之介が将としてこれへ襲せては」

宇喜多方は、物見の口から、それと聞くと、非常な恐怖に襲われた。

山中鹿之介の名や、尼子浪人という声は、それを聞くだけでも、彼らは、猛虎の前の小獣雑禽のように、恐れあわてるのだった。