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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
秀吉が、直接攻めて来たと聞くよりも、それは恐かったにちがいない。なぜならば、中国の反信長圏内では、まだ、羽柴秀吉などという者は、そう大したものとは重視していない。
その点、鹿之介の尽忠一念と、その武勇は、強国毛利でさえも、鬼神のように、多年、その禍に畏怖していたから、上月城に、幸盛を向けたことは、秀吉として、頗る効果的だった。
果たせるかな。さしもの宇喜多随一の猛将真壁治次も、
「兵を損じては」
と、戦わずに、上月城を捨てて逃げた。もちろん、これは一時的現象である。幸盛の部下が、城に入って、
「無血、奪回」
を、秀吉へ報告すると、まもなくさきに逃げた真壁勢は、主家宇喜多家に増援をあおぎ、その真壁の弟治時の軍をあわせて、総勢約千五、六百騎、馬けむりをあげて城外六十町ばかりの平野まで、逆襲して来た。
鹿之介は、望楼から眺めて、
「ここ雨のないこと、半月あまり、彼らはみずから身を焼かれている」
と、嗤った。
ふかく城寨を閉じて、恐れ守ると見せて、その夜――夜半頃、幸盛は、兵をふた手に分けて、曠野へ駈け出し、一手は、風上から、火を放って、いちめんな枯野の草を焼きたてた。