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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
「京都は、冬の訪れも早い。わけて朝夕は冷えるという。どこぞなと、冬中は、暖かな地へ移ってはどうか」
「いえいえ、病も日ましに快ろしい方に向いております。冬までにはかならず癒して」
「とんでもないことだ」
わざと、秀吉は仰山に云いかぶせて、
「せっかく快い方とあればなおさらのこと、この冬は、断じて病間から出てはならん。こんどこそは、癒りきるまで、充分に療養せい。……そちのからだは、そちひとりのものではない」
「勿体ないおことばです」
半兵衛は肩を落して俯向いた。手は膝をすべって、思わず垂るる涙とともに畳へつかえて、そのまましばらく声もなかった。
――ああ、痩せたなあ。
秀吉は心のうちで大きな嘆息をいだいた。
畳につかえている半兵衛の手くびの細さ、鬢の毛のあたりの肉の薄さ。
(遂に彼の宿痾は、不治のものか)
そう考えて来ると、胸がいたくなってくる。
もともと病弱な彼を、むりに乱世の中へひき出した者は誰か。櫛風沐雨のあいだの幾戦場。また、平時のときでも、内部の経済に外交に、ほとんど安らかな日というものを与えずに、今日まで彼を苦しめ通して来た者は誰か。
しかも本来は、師とも仰ぐべき筋目のものを、家臣同様に遇して、そしてまだそれに、酬うほどな歓びにも会わせないうちに……と、秀吉は、ひとり詫び、ひとり責め、いつか自分も横を向い