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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁

青空文庫

その後、打ったとも、送ったとも、答えがない。そちは返答を聞いておったか」

「いえ。てまえもまだ」

と、信盛も首を振りながら――そういわれれば――と去年の使いを思い出しているような顔つきだった。

使いは確実にすましているが、もとより松寿丸の身がらは、竹中半兵衛の領地美濃の不破郡に預けてあるので、すぐにといっても無理である。

半兵衛からもそのとき、

(右大臣家の御命とあらば、否やはありませぬが、数日の御猶予を)

と、当然な挨拶があったので、もちろん佐久間信盛も諒として、

(では固くお伝え申したぞ)

と、念は押したが、そのまま立ち帰って信長へ復命しておいた。

陣務の忙しさやら、間もなく信長の引き揚げなどで、信長も失念していたらしいが、実は信盛も、その結果はまったく念頭においていなかった。――多分、信長の方へは、半兵衛から直々に、処置の報告がすんでいるだろう――程度に考えていたのである。

「はて? ……。ではその後、筑前からも、半兵衛からも、なんのお届けもいたして参りませぬか」

「参らん。――何もいって参らん。あのことについては」

「いぶかしいことでござる」

「そちは確かに、半兵衛へ申し渡したろうな」