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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《新版 放浪記(しんぱん ほうろうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 247,330 字 · 497 頁

青空文庫

浅草はいいところだ。

みんなが、何となくのぼせかえっている。躯じゅうでいきいきしている。イルミネーションが段々はっきりして来る。

誰にでもある共通な、自然なこころの置場なのよ。三角の山盛りで、黄色に塗った五銭のアイスクリン。エエひやっこいアイスクリン! その隣りが壺焼。おでん屋は皿ほどもあるがんもどきをつまみあげている。

十字の切りかたは知らないけれど、ああ神様と祈りたくなります。

全心全霊をかたむけてエホバよ。

プウシュキンは品のいい詩ばかりお書きになっていた。そして、人の魂をとろかすもの。私ときたら鼻もちならぬ。

みんな自分が可愛いのだ。どなたさまも自分に惚れすぎている。人の事はみえない。だから、私が、いくら食べたいと云う詩を書いても駄目なの。疲れてへとへとで、洗濯せっけんもないのよ。

家へかえりたくない。

一晩じゅう浅草を歩いていたい。

鐘撞堂の後に、小さい旅館が沢山並んでいる。「あんた貫一さんはないのかい?」一人て呆んやり歩いている私に、旅館の番頭が声をかける。

「十七、八となってるかな?」

私はおかしくなった。浅草に夜が来た。みんな活々と光る。