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さるかにかっせん

日本の神話と十大昔話

楠山 正雄

線上閱讀楠山 正雄《日本の神話と十大昔話(さるかにかっせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,605 字 · 76 頁

青空文庫

夕方になってやっと、おじいさんは山からしばを背負って帰って来ました。

「おばあさん、今帰ったよ。」

「おや、おじいさん、おかいんなさい。待っていましたよ。さあ、早くお上がんなさい。いいものを上げますから。」

「それはありがたいな。何だね、そのいいものというのは。」

こういいながら、おじいさんはわらじをぬいで、上に上がりました。その間に、おばあさんは戸棚の中からさっきの桃を重そうにかかえて来て、

「ほら、ごらんなさいこの桃を。」

と言いました。

「ほほう、これはこれは。どこからこんなみごとな桃を買って来た。」

「いいえ、買って来たのではありません。今日川で拾って来たのですよ。」

「え、なに、川で拾って来た。それはいよいよめずらしい。」

こうおじいさんは言いながら、桃を両手にのせて、ためつ、すがめつ、ながめていますと、だしぬけに、桃はぽんと中から二つに割れて、

「おぎゃあ、おぎゃあ。」

と勇ましいうぶ声を上げながら、かわいらしい赤さんが元気よくとび出しました。

「おやおや、まあ。」

おじいさんも、おばあさんも、びっくりして、二人いっしょに声を立てました。

「まあまあ、わたしたちが、へいぜい、どうかして子供が一人ほしい、ほしいと言っていたものだから、きっと神さまがこの子をさずけて下さったにちがいない。