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さるかにかっせん
日本の神話と十大昔話
楠山 正雄
線上閱讀楠山 正雄《日本の神話と十大昔話(さるかにかっせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,605 字 · 76 頁
四
ほんの一時間も走ったと思うころ、へさきに立って向こうをながめていたきじが、「あれ、あれ、島が。」とさけびながら、ぱたぱたと高い羽音をさせて、空にとび上がったと思うと、スウッとまっすぐに風を切って、飛んでいきました。
桃太郎もすぐきじの立ったあとから向こうを見ますと、なるほど、遠い遠い海のはてに、ぼんやり雲のような薄ぐろいものが見えました。船の進むにしたがって、雲のように見えていたものが、だんだんはっきりと島の形になって、あらわれてきました。
「ああ、見える、見える、鬼が島が見える。」
桃太郎がこういうと、犬も、猿も、声をそろえて、「万歳、万歳。」とさけびました。
見る見る鬼が島が近くなって、もう硬い岩で畳んだ鬼のお城が見えました。いかめしいくろがねの門の前に見はりをしている鬼の兵隊のすがたも見えました。
そのお城のいちばん高い屋根の上に、きじがとまって、こちらを見ていました。
こうして何年も、何年もこいで行かなければならないという鬼が島へ、ほんの目をつぶっている間に来たのです。
四
桃太郎は、犬と猿をしたがえて、船からひらりと陸の上にとび上がりました。
見はりをしていた鬼の兵隊は、その見なれないすがたを見ると、びっくりして、あわてて門の中に逃げ込んで、くろがねの門を固くしめてしまいました。