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にほんのび

日本の美

中井 正一

線上閱讀中井 正一《日本の美(にほんのび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,126 字 · 187 頁

青空文庫

四 文学――さやけさ・もののあわれ

すべてこれ、きれいで、さっぱりとし、軽く、柔らかく、流れ動き、清く新しく、常に濁りと汚れと、重さから脱出せんとするところの、脱出の精神と行動がみとめられるのであります。その一々について次章から顧みてみたいと存じます。

四 文学――さやけさ・もののあわれ

今日は、日本の歌の世界で二つの精神といわれている『万葉集』と『古今集』が、日本の美として、いかなる位置を占めているかを考えてみたいのであります。

『万葉集』は、一般にいわれるように、「人となりまことにまかせ、なほく、飾るところなし」というようなこころもちでうたっているのであります。すでにうたうこころがまえが、そのこころの真実を一すじに通し、唐竹を割ったように、まっすぐにいいたいことをいい、うたいはなつのであります。それをいいつくろったり、かざったりするのがもどかしく、めんどうでそんなものをかなぐりすてて、こころのありたけをいいのけてしまうのであります。

そこで、『万葉集』には、ずいぶん多くの歌がありますが、全体にかかる自由な精神が、みちあふれています。その飾り気のなさ、明かるさ、すがすがしさ、つまり、一言にしていうならば、まつわりつく暗いもの、ややこしいものを、一刀に切って捨てるような率直なもの、これを、清明の精神と人々はいうのであります。