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にほんのび
日本の美
中井 正一
線上閱讀中井 正一《日本の美(にほんのび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,126 字 · 187 頁
日本の美を形づくっていくにあたって、民族は、かかる世界に類例のない巡礼の旅、ピルグリムをしつづけたのであります。
そして、時代が三百年、五百年と異なっているにかかわらず、その場所に立って、その詩を作った三百年、五百年前の人のこころをじかにふれて、日本の美の奥底を、次から次に伝えてきたのであります。
芭蕉は、この旅の中から、何をうけつぎ、何を後のものにバトンのごとく手渡したでありましょう。
芭蕉も一生のうちにいろいろのさまよいをいたしました。江戸の豪華の中にも住みました。吉原の爛熟と無縁でもありませんでした。しかし、彼が、この旅路の中の涯に見つけだしたのは、「軽み」という日本の美の世界でありました。これは、そのまま、江戸の「いき」にも深く貫き透るものなのでした。
「翁今思ふ体は、浅き砂川を見るごとく、句の形、付心ともに軽きなり、其処に至りて、意味ありと侍る」
「当時の教、軽(かるみ)を専にするは、往時の重みを破らんが為也。軽(かるみ)にあらずんばいかでか旧染(昔からある)の重を破らんや。」と去来もいっています。
芭蕉が、この軽みを大切にするのは、これまでの芸術が、西行、宗祇、雪舟、利休の根底に横たわっているものにくらべて、何か、くだらぬ重くるしいものが、つきまとっていたから、それからぬけだすために、この「軽