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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
線上閱讀楠山 正雄《日本の諸国物語(せっしょうせき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 75,040 字 · 158 頁
「どうか、わたしを京都へ連れて行って下さい。天子さまの御病気を治して上げとうございます。」
といいました。
保名もこれをしおに京都へ行って、阿倍の家を興す時が来たと、大そうよろこんで、童子を連れて京都へ上りました。そして天子さまの御所に上がって、お願いの筋を申し上げました。天子さまも阿倍の仲麻呂の子孫だということをお聞きになって、およろこびになり、保名親子の願いをお聞き届けになりました。そこで童子はからすに聞いたとおり占いを立てて申し上げました。御所の役人たちはふしぎに思って、なかなか信用しませんでしたが、何しろ困りきっているところでしたから、ためしに御寝所の東北の柱の下を掘らしてみますと、なるほど童子のいったとおり、火のような息をはきかけはきかけ戦っている蛇と蛙を見つけて、追い出して、捨てました。するとまもなく天子さまの御病気は薄紙をへぐように、きれいに治ってしまいました。
天子さまは大そう阿倍の童子の手柄をおほめになって、ちょうど三月の清明の季節なので、名前を阿倍の清明とおつけになり、五位の位を授けて、陰陽頭という役におとりたてになりました。