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せっしょうせき

日本の諸国物語

楠山 正雄

線上閱讀楠山 正雄《日本の諸国物語(せっしょうせき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 75,040 字 · 158 頁

青空文庫

けれど何しろくたびれきって一足も歩けない上に、おなかがすききっているものですから、もう鬼でも化け物でもかまわない、とにかく休ませてもらおうと思って、その家の戸をとんとんたたきました。

すると中から「だれだ。」といって、六十ばかりのおじいさんの坊さんが出て来ました。何だかこわらしい、食いつきそうな顔をした坊さんでしたけれど、今更どうにもならないと思って、三人は上へ上がりました。するとあるじの坊さんは、

「お前さんたちはおなかがへったろう。」

といって、ごちそうをお盆にのせて出してくれました。ごちそうは大へんうまかったし、あるじの様子も顔に似合わず親切らしいので、三人はすっかり安心して、食べたり飲んだりしていました。

夕飯がすんでしまうと、あるじの坊さんは手をならして、

「これこれ。」

と呼びますと、もう一人のやはりこわらしい顔をした坊さんが出て来ました。

何をいうかと思うと、

「御飯がすんだから、いつもの物を持っておいで。」

といいつけました。坊さんはうなずいて出ていきました。いったい「いつものもの」というのは何だろうと、三人は物めずらしさが半分に、気味悪さが半分で、何が出るかと待ちうけていますと、やがてさっきの坊さんが、大きな馬のくつわと、太いむちを持って戻って来ました。