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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁
家財なぞしらんと――だが深川の商取引の活溌さは昔どころではなく、溌溂として大きな機運が動いていた。義弟の佐賀町の廻船問屋石川佐兵衛の店では、仙台藩時代の彼の緻密な数算ぶりを知っていたので手を開いてむかえた。働きものの小娘は気むずかしい伯母の小間使いになった。
だが、人間をあやつる傀儡師はなんといういたずらをしようとするのか、この湯川氏が、働きものの二女を芸妓に売ろうと思ったり、また、この小娘が未来に教育界の先駈者となろうとしたのをさせなかったり――彼女に手習いを教えた女学者が、この子を養って自分の意志をつらぬかせたいと懇望したが許さなかったのだった。
石川佐兵衛は暗愚でも、時流が廻米、廻船問屋というものを恵んだ。そこに湯川氏の数算と長年の蘊蓄が役に立って石川の家運はあがった。その頃の湯川氏の知己の名は自毛村であるとか、三野村だとか錚々たる大実業家となった人たちである。石川屋は三井物産前身の如きものだともきいたが、やがて石川屋は没落し、それよりずっと前に湯川氏はまた動きだした。あたしが知った老爺さん湯川氏は、それからずっと後の彼だったのだ。
あたしの家で――彼のいう長谷川氏の宅で、彼のために小晩餐会が催されたことがある。