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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁

青空文庫

水が引いたあと、ヘドロを掻くのと、濡れた衣物や書籍が洗いきれずに腐って、夜になると川へ流して捨てた。壁は上までシケが浸上っていった。額などは水につかりもしないのにパクパクして、何もかもが病気になった状態だった。私は二人の老人の健康を気づかった。

離れの二階が一番乾いていたのと通風がよいので、みんなが其処に集って暮すと、二人の老人はまた互に強がりはじめた。しかし、二人ともどこか悪くしている様子が見えた。私は七十代の父の方に説いた。

「どうも老爺さんが悪いらしいが、医者をよぶというとかからないから、お父さんが風邪をひいたことにして――」

「よし。」

老父は至極簡単で、もの事を逆にいえば唯々諾々なのである。

「なにしろ湯川老人は年齢だからな、医者に見せなければいけない。」

そして、その湯川老人はいった。

「ようごす、お父さんは頑固だからどうも強がっていけない。僕が医者にかかるというと、自分のためだとは知らずに、湯川もまいったなと言われるだろう。だが、なんぞ知らん、長谷川氏のために呼んだ医者だ。」

カラカラと笑ってつけたした。

「幸と硫黄はなんともなかった。書物をすこしやられたが、それはまた書けば書けるから、どうか御安心ください。