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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁
木魚の顔のおじいさんの老妻がいしくもいったことがある。
「親不孝者が、親孝行の子をもつなんて、誠に不思議さね。」
清元と踊りで売っていた姉娘お麻に地味な客がついた。丁度年期があいたあとだったので、彼女は地味にひいてしまった。その頃の九段坂上は現今よりグッと野暮な山の手だった――富士見町の花柳界が盛りになったのは、回向院の大角力が幾場所か招魂社の境内へかかってから、メキメキと格が上ったのだ。従って町の雰囲気も違って来た――お麻さんが選んだ妾宅は、朝々年寄った小役員でも出てゆきそうな家だった。母親は台所のためによばれていったので藤木さんの不服は一方ならずであった。
お麻さんがその妾宅で、鬢髱をひっつめた山の手風の大丸髷にいって、短かく着物をきていたのも暫らくで、また柳橋へかえった。こんどは提灯かりの通勤だったので、おなじ芸妓屋町に住居をもった。
地味な気性でも若い芸妓である、雛妓のうちから顔馴染の多い土地で住居をもったから、訪ねてくるものもある。見得の張りたいところを裏長屋で辛棒しているのだから、察してやらなければならないのを、チンコッきりに厭きはてた父親は、一緒に住まわせなければ、晩にいってその家の棟で首をくくってやるといやがらせた。