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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁
旧聞日本橋
女の人のすべてが低下したのは(祖父をわるくいってはすまないが)、こういう男に、扶養されなければならない位置に長く長くおかれたからであろう。そしてそういう善人といっていいか、グズ男といっていいか、ともかくそんな男どもの好みにあった女をつくり、その女が、そういう男の子を生んできたのだと思うと、家の子はどうしてこう低能なんだ、なぞと、学校の試験や親の思う通りにならなかった場合に、そんな勝手なことはいえないはずだ。
祖母、ある日、
「古道具屋で御櫃を決して買ってはいけない。」
と変な教訓を垂れた。聴いていた壮士荻野六郎が、赤黒い、ズングリ肥った腕を撫上げながらへえと腑におちない声で返事をした。
「飯櫃だけ古道具屋で買ってはいけないのですか。」
「お前が出世前だからいうのだよ。」
毬栗のような男は大いによろこばされた。
「僕が出世前だからでしょう、御教訓によって米櫃も買いません。」
「馬鹿なことは言いなさんな。お前の身分で、古道具屋からでも米櫃が買えればたいしたものではないか、米櫃というものは、入れておける米が買いおけるから入用なので、買いおきの出来ない米なら米櫃は入りはしない。