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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁

青空文庫

先生はジリジリして褒めたくってたまらないのが褒められないので機嫌がわるくなりかかっていた。先生の底の方に光る眼が私の上にギョロリときたが、暫くたゆたってから、

「ヤッちゃん。」

と指さした。子供は率直だ、あたしの家ではあまり金銭の顔を見せない、あたしに金銭の貴さを知らせるには無理だった。だからこの場合、あたしはその武士がお金をならべて楽しむのは、あたしが姐様を飾るのとおなじ位にしか見えなかった。だから皆が考えかねているのが不思議でかえって自分の考えが間違ってるのかも知れないとさえおそれた。それでも言った、

「ふだんはお金が好きだが、人を助けるためには……」

そこだ! と先生は飛上って卓を打った。堪えかねるほど待兼ねた答を、予期しないアンポンタンから得たので、先生の褒めかたは気狂いじみてたほどだった。

「傑い、傑い。その武士も傑いが、ヤッちゃんも負ずに傑いぞ。小錦関だ、やがて日の下開山の小錦関だ。」

小錦という力士は後に横綱になったが、まだそうならないうち、新進気鋭で売出しかけてでもいたのであろう。そういって褒めあげた末に、人間は大将を望んでやっと兵卒位にしか出世をしないものだという事や、恐らく○○先生も世が世であれば大名を志望てお出だったであろうがなぞと、呆れ顔に佇んでいた、例の助教師の方へ嫌味をふりかけて、その