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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁

青空文庫

金坊とよばれたのは古帳面屋の娘で、清元をならっている子だった。ニコリと笑った、前髪から沈丁花の花をだして見せた。

この学校の向うに、後日あたしが生花を習いにいった娘の家で、針医さんがあった。もすこしさきへゆくと、塀ぎわに堀井戸があって、門内に渡り廊下の長い橋のある馬込さんという家があったが、そこの女中がお竹大日如来だったのだといって、大伝馬町の神輿の祭礼の時、この井戸がよく飾りものに用いられたが、ある時は団七九郎兵衛の人形を飾り、ある時はその家にちなんだお竹大日如来がお米を磨いでいて、乞食に自分の食をほどこしをしているのだった。

その隣家に清元の太夫とかいう瓢箪の紋の提灯をさげた駄菓子屋があった。石筆や紙や学校用品を売っていたが、売手のおかみさんが上手なので、近いところよりも、生徒はそこに集まった。おかみさんは学校用品よりも、青竹の筒にはいった砂糖蜜入りのカンテンや、暑くなるとトコロテンの突いたのをお皿に盛って買わせた。おかみさんはよく話した。清元のお師匠さんをしている自分の旦那が、非常に声がよかったので仲間にねたまれて、水銀をのまされたので、唄う方が出来なくなったので、仕方なしに三味線の稽古をしているのだと、芸人のかなしみを、子供が感じるようにしみじみというのだった。