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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁
そこにも金網が張ってあった。娼妓の逃亡を怖れてだといったが、それより幾年前、帝都の中央の日本橋に、しかも区内のめぬきで中心点である士地ゆえ、日本国の中心といってもよい場処の大呉服店に、そうした窓が、しかも一丁の半分以上をしめて金網が張りわたされていたという事実がある。それはあたしも子供心に知っていた。盗品をおそれるのだといったが、それならば台所の窓にまでしなくってもよいはずである。外からの盗人を怖れたのではない。
理屈はやめて、大丸はその近所の者にとって、何がなし目標点だった。物珍らしい見物があれば、みな大丸の角に集まってゆく。鉄道馬車がはじめて通った時もそうなら、西洋人が来たと騒いで駈附けるのも大丸であるし、お開帳の休憩もそこであった。アンポンタンが知らない時分の大丸は、神田から出た北風の火事には、類焼るものとして、蔵の戸前をうってしまうと店をすっかり空にし、裸ろうそくを立てならべておいたのだという、妙な、とんでもない巨大な男店だった。
大丸は大伝馬旅籠町から大門通りへ折れまがって裏まで通った、一丁の半分以上を敷地にして幾戸前かの蔵と店とで、糸店によった方に広い土間があった。