輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しょうわよねんのぶんだんのがいかん
昭和四年の文壇の概観
平林 初之輔
線上閱讀平林 初之輔《昭和四年の文壇の概観(しょうわよねんのぶんだんのがいかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,557 字 · 29 頁
ず、かえって、ますます読書界の寵児となりつつある。その顔触れは大体において変化を見ない。依然として菊池寛であり、三上於莵吉であり、中村武羅夫であり、加藤武雄である。だが、これらの第一線の作家が、従来主として、新聞と婦人雑誌とによっていたのが、近年目だって、娯楽雑誌にまで進出して、娯楽雑誌専属のお抱え作家の勢力が急激に閉息してきたこと、そして、いわゆる「文壇」から、通俗小説の作家が頻々として現れてきたことは、特に昭和四年度における著しい特徴の一つだと言えよう。これは十九世紀の後半にフランスあたりの文壇におこった現象、アレクサンドル・デュマや、ウージェーヌ・シューのような作家を輩出せしめたのと同じ現象、すなわち金の力が最も力強く作家の創作活動を刺激するようになってきた現象に外ならないと私は思う。ブルジョア社会におけるすべての原動力は金である。社会の全面をあげて、現代はゴールド・ラッシュの時代である。金が作家の創作の刺激になるのは当然である。従来の日本作家には、まだまだこの意味では、封建時代の文人気質が多く残っており、どんなに勘定高い文人でも、他の職業人に比べるとまだまだ金銭に対する観念が淡白であったし、どんなに収入の多い作家でも、その所得額平均十万円の単位を突破し得る人はほとんどなかったろうと思う。