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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《智恵の一太郎(ちえのいちたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 頁
「へえ、歩いて行ったんだって? でも、足あとがないじゃないか」
「足あとはないけれども、歩いて行ったんだよ。君、あすこをごらん。雪の上にポツポツと小さな穴があいているだろう。あれはなんだと思う?」
それはさしわたし三センチほどの小さな穴が、たびはだしの足あとがとだえているへんから、七十センチぐらいの間をおいて、ポツポツとむこうの大通りまでつづいているのです。
「雪の上に石を投げた穴みたいだね。それとも、棒の先でつついたのかしら」
木村君という少年が、小首をかしげていいました。
「アハハハ……、棒でつついたんだって? じゃ誰がその棒を持っていたんだい。その人の足あとがないじゃないか」
北川君が、こういって木村君の考えをうちけしました。すると今度は、一太郎少年が、妙なことをいい出しました。
「北川君、君の方がまちがっているよ。あれは、やっぱり棒でつついた穴なんだよ」
「えっ、なんだって? それじゃ君は、棒がひとりで動きまわったっていうのかい」
北川少年はあっけにとられて聞き返しました。
「そうじゃないよ。人が動かしたんだよ。君は、それじゃその人の足あとがつくはずだっていうのだろう。