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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《智恵の一太郎(ちえのいちたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 頁

青空文庫

という大きな著書があって、日本語にも訳されているから、もう少し大きくなったら読んでみるといい。その本にはまるで小説のように、おもしろく、くわしく、いろいろな昆虫の生活が書いてあるのだよ。

そのファーブルが、トックリバチの幼虫が、自分のからだの何倍もある青虫どもの中にいて、どうしておしつぶされないかということを、はじめて発見したのだ。

ファーブルは、トックリバチの壺を割って、幼虫と青虫を取りだし、ペン先を入れる小さな箱の中へ入れて、幼虫が青虫をたべて成長して行くありさまを見ようとしたが、どういうわけか、ペン箱の中では、幼虫が死んでしまう。又別の壺を割って、同じようにためしてみても、やっぱり幼虫は死んでしまう。何度くりかえしてもだめなんだね。

そこで、ファーブルは考えた。壺から出すと死ぬんだから、きっと壺の中に何か仕掛があるにちがいない。だから幼虫を壺から取出さないで、壺の壁をそっと切り開いて、そこから虫眼鏡でのぞいて見ることにしよう、とね。

口でいえば何でもないが、これはなかなかむずかしい仕事なんだよ。よく切れるナイフの先で、壺の壁を、こわれないように用心しながら、切り開いて行くのだ。