輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ほんじょまつざかちょう
本所松坂町
尾崎 士郎
線上閱讀尾崎 士郎《本所松坂町(ほんじょまつざかちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,622 字 · 55 頁
吉良の殿様よい殿様
赤いお馬の見廻りも
浪士にうたれてそれからは
仕様がないではないかいな、――
巷間に流布されている俗謡は吉良郷民の心理を諷したものであろう。まったく仕様がない。メイファーズである。人間万事塞翁が馬、――何が起るか見当もつかないところに人間の宿命があるのであろう。終りよければすべてよしというのはシェークスピアの戯曲であるが、家庭を愛し、隣人に慕われ、善行という善行のかぎりをつくし、人生の行路ようやく終りに近づこうとするに及んで、運命がだしぬけに逆転する。
もし、私の郷里の殿様である吉良上野が元禄十三年の秋、中風か何かで死んでいたとしたら、終戦後、戦争に関係のある英雄豪傑がことごとく抹殺された今日の歴史教科書の中においては追放をうけない史上の人物として、メモランダムケースによる「好ましからざる人物」の折紙をつけられる筈もなく、名君吉良上野の令名は日本全国を風靡していたであろう。
まったく惜しいことをしたものである。幸不幸、運不運のわかれ目は間一髪、しまったと思ったときはもうおそい。因果応報なぞというのは嘘の皮である。
私の郷里は正確にいうと愛知県幡豆郡横須賀村であるが通称「吉良郷」