輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ますおとし

枡落し

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《枡落し(ますおとし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,765 字 · 67 頁

青空文庫

おまけに六つになったばかりのおうめに乱暴でもされてもし間違いでもあっては、という心配もあった。

――千太郎の罪の幾分かは、そのほうにもあるということを忘れるな。

町奉行はそうきめつけた。夫婦となり、いっしょに生活していれば、善悪ともに共同の責任がある、それはそのとおりであろう、けれどもそれが全部だろうか、人はさまざまだと家主が云った。夫婦のかたちもいちようではない、どんなにうまくいっている夫婦でも、或るときひょっと狂ってしまうことがある。一心同躰というのは言葉で、本当には育ちも性分もまちまちな、女と男がいっしょにくらしていれば、いい事ばかりはないのが自然であろう、それがうまく納まるか、だめになってしまう場合もある。それにしても、自分たちの場合はひどかった。

石町の家は父の物であった。千太郎はいつかそれも売ってしまい、おみきやおうめの着物まで売るようになった。鼈甲の生地作りはいい手間賃になる、千太郎はむろんそれを知っていて、毎日のように酒をせびり、銭をしぼった。ちょっと拒んだりすれば、障子襖を蹴やぶったり、火鉢をひっくり返したりしてあばれた。妻や娘には手を出さなかったが、千太郎があばれだすたびに、二人ははだしで逃げだすより仕方がなかった。