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えどかとうきょうか

梵雲庵雑話

淡島 寒月

線上閱讀淡島 寒月《梵雲庵雑話(えどかとうきょうか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,841 字 · 73 頁

青空文庫

八文払って入って見ると、看板の裲襠を着けている女が腰をかけている、その傍には三尺ばかりの竹の棒の先きが桃色の絹で包んであるのがある。「ヤレ突けそれ突け」というのは、その棒で突けというのです。乱暴なものだ。また最も流行ったのは油壺に胡麻油か何かを入れて、中に大判小判を沈ましてあって、いくばくか金を出して塗箸で大判小判を取上げるので、取上げる事が出来れば、大判小判が貰えるという興行物がありました。また戊辰戦争の後には、世の中が惨忍な事を好んだから、仕掛物と称した怪談見世物が大流行で、小屋の内へ入ると薄暗くしてあって、人が俯向いてる。見物が前を通ると仕掛けで首を上げる、怨めしそうな顔をして、片手には短刀を以って咽喉を突いてる、血がポタポタ滴れそうな仕掛になっている。この種のものは色々の際物――当時の出来事などが仕組まれてありました。が、私の記憶しているのでは、何でも心中ものが多かった。こんなのを薄暗い処を通って段々見て行くと、最後に人形が引抜きになって、人間が人形の胴の内に入って目出たく踊って終になるというのが多かったようです。この怪談仕掛物の劇しいのになると真の闇の内からヌーと手が出て、見物の袖を掴んだり、蛇が下りて来て首筋へ触ったりします。