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えどかとうきょうか

梵雲庵雑話

淡島 寒月

線上閱讀淡島 寒月《梵雲庵雑話(えどかとうきょうか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,841 字 · 73 頁

青空文庫

オムニバス

現に私がこの店で帽子を見てそれが非常に気に入り、父をせびって買いに行った事がありましたが、値をきいて見ると余り高価だったのでとうとう買わずに帰って口惜しかった事を覚えています。とにかくこういうように舶来の物を売る店があったということは、横浜から新橋へ汽車の便のあったことと、築地に居留地のあったためと、もう一つは家屋の構造が例の煉瓦で舶来品を売るのに相当していたためでしょう。

オムニバス

明治七年頃でしたが、「煉瓦」の通りを「オムニバス」というものが通りました。これは即ち二階馬車のことですが、当時は原語そのままにオムニバスと呼んだものです。このオムニバスは紀州の由良という、後に陛下の馭者になった人と私の親戚に当る伊藤八兵衛という二人が始めたもので、雷門に千里軒というのがあって此処がいわば車庫で、雷門と芝口との間を往復していたのです。この車台は英国の物を輸入してそのまま使用したので即ち舶来品でした。ですから数はたった二台しかありませんでした。馬は四頭立で車台は黒塗り、二階は背中合せに腰掛けるようになっていて梯子は後部の車掌のいる所に附いていました。馭者はビロードの服にナポレオン帽を戴いているという始末で、とにかく珍らしくもあり、また立派なものでした。