輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
にれのはな
楡の花
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《楡の花(にれのはな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,545 字 · 4 頁
四月、といっても、北国の春はおそく、やっと雪は消えたが、地面はまだどろどろで、冬中にたまった汚いものが、その泥にまみれていっぱいちらかっている。空は曇りがちで、鼠色の雲が低く垂れ、いつまでも冷たい風が吹く。そういう時に、冬の間はすっかり葉が落ちたエルムの梢が、まだ枯枝のまま暗い空に交錯してのび出ている。仰いで見ると、墨絵の線描きのような恰好である。
その時よく注意して見ると、どの小枝にもみな点々と心もちふくらまったところがある。丁度葉の芽が出ようとしているところのように見える。それがエルムの花なのである。夕暮に冷たい風の吹く中を、オーバの襟を立てながら、鼠色の空に交錯する枯枝を仰いで「またエルムの花盛りになったね」と冗談を言う友人もあった。
木屑のような花ながら、エルムにとっては、それが青春なのである。一寸可笑しいような気もするが、それを仰ぐ大学の先生方だって似たようなものである。そういう先生方は、エルムの花のような青春を送っていれば、それで世間は安心している、というよりも、その方が評判がよいと言った方がよいであろう。その上年中貧乏をして、研究費がなくて困っていれば、ますます感心な学者ということになる。