輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《榎物語(えのきものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,519 字 · 67 頁

青空文庫

と知らせて来た。雪の道は凍っていてぬかるみはない、空もようを慥かめたさわは、被布をはおって頭巾をかぶり、雪沓をはいてでかけた。すると大榎のところに、旅装をした一人の男が、片手に持った笠を斜にあげながら、榎の梢のほうを見あげていた。さわは二十間あまりこっちからそれを認めると、どきんとして思わず立停った。もう四年越しにもなるのに、そこでそんなふうにしている男を見ると、きまってどきりとし、息が止りそうになる。幾たび、いや幾十たびあったことか数えきれないだろう。榎と国吉とはそれほどしっかりと、印象がむすびついているのだ。――近づいてゆくと、三十五六歳になる男で、むろん国吉とは似たところもなく、どうやら百姓のようにみえた。

さわはがっくりしたような、また同時にほっとしたような気持で、静かにそこを通りすぎた。柏屋から呼ばれたのは、その年それが初めてであった。客は五十年配の侍で、一昨年の秋にもさわの手前をたのしんだと云い、さわにその記憶がなさそうだと知ると、そのときは浪人で、姿かたちが違っていたのだと笑った。こんど新発田の溝口家へ召出され、妻子もあとから来るという。