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ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
線上閱讀折口 信夫《死者の書(ししゃのしょ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 62,340 字 · 126 頁
土を積んで、石に代えた垣、此頃言い出した築土垣というのは、此だな、と思って、じっと目をつけて居た。見る見る、そうした新しい好尚のおもしろさが、家持の心を奪うてしまった。
築土垣の処々に、きりあけた口があって、其に、門が出来て居た。そうして、其処から、頻りに人が繋っては出て来て、石を曳く。木を搬つ。土を搬び入れる。重苦しい石城。懐しい昔構え。今も、家持のなくなしたくなく考えている屋敷廻りの石垣が、思うてもたまらぬ重圧となって、彼の胸に、もたれかかって来るのを感じた。
おれには、だが、この築土垣を択ることが出来ぬ。
家持の乗馬は再、憂鬱に閉された主人を背に、引き返して、五条まで上って来た。此辺から、右京の方へ折れこんで、坊角を廻りくねりして行く様子は、此主人に馴れた資人たちにも、胸の測られぬ気を起させた。二人は、時々顔を見合せ、目くばせをしながら尚、了解が出来ぬ、と言うような表情を交しかわし、馬の後を走って行く。
こんなにも、変って居たのかねえ。
ある坊角に来た時、馬をぴたと止めて、独り言のように言った。
……旧草に 新草まじり、生ひば 生ふるかに――だな。
近頃見つけた歌所の古記録「東歌」