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えどまえのつり

江戸前の釣り

三遊亭 金馬

線上閱讀三遊亭 金馬《江戸前の釣り(えどまえのつり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,910 字 · 214 頁

青空文庫

船頭の若い衆が自転車を持って迎えにきている。

十時半に小倉橋先の船頭の家に着くと、ちょうちんをつけ、赤飯をたいて大騒ぎをしている。「東京からはなし家がくるから一席やらせべえ」と、寺まで借りてある。しかたがないので釣りの服装のまま一席しゃべってやった。

持参のウイスキーを飲み、赤飯を食べて寝たが、飲み過ぎがたたって、寝過ごしてしまった。船頭はとっくの昔に起きて釣りに出たあとである。

「なぜ早く起こしてくれないのだ」

といったものの、あとの祭りである。

八時ごろ、ようやく名場所釜岩にかかったが、舟がいっぱいで、はいれたものではない。それでも、ゆうべのはなし家だ、どこかへ割り込ましてやれと入れてくれた。針が合ったのか、それこそ入れ食いで釣れる。ぼくが一ぴき釣るたびに、まわりの船頭が「バンザイ」と大きな声でどなる。

しばらくすると、どうしたことかぱったり食いがとまってしまった。全然あたりがない。船頭が、「おれの針へくるのにそんなわけはねえ、見せなせえ」といって手に取ると、食わないわけだ、針の先が折れている。落語にも、

「先生、ぼくの家がしけているせいか、蚊針のミノ毛は抜け、針先はさび、とんと使いものになりません。