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はいいろのきおく
灰色の記憶
久坂 葉子
線上閱讀久坂 葉子《灰色の記憶(はいいろのきおく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 65,588 字 · 132 頁
それにまた、誰と誰とが仲が良すぎるとか、誰がひがんでいるとやらそんな小さなことが仕事の上にも影響して秘書から社長へ筒抜けであることや、社長がそんなことまでに干渉するということが馬鹿げているとさえ思われながら、そんなことが出世に大きなひびきがあることを知った。私は一番年少者であったし誰とも事件をまき起さないでいたけれど、後からはいってくる女の子達よりいつも末席におかれていた。それは、事務能力がなかったからである。簿記も算盤も出来なかった。タイプライターも打てず、布地をいじることも知らなかった。私は別に、後から追い抜いてゆく同僚に嫉妬しなかった。末席は一番多忙でありながら、これ以上おちるところがない安定感があった。いつまでたっても玄関脇の机と受付けの角で立ったり坐ったりしていた。来客者には評判がよかった。言葉が流暢であったからであろう。学校で演説したり、又幼い頃から、言葉の躾が喧しかったせいで、苦労しなくても、敬語を使うことが出来た。
多忙の五カ月がすぎた。はじめてボーナスという大きな袋を社長から手渡され、両親や兄弟や、例の友達のお母さんに贈り物をした。