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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

線上閱讀久坂 葉子《灰色の記憶(はいいろのきおく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 65,588 字 · 132 頁

青空文庫

第三章

「今日は、出迎えしないでいいの」

そう云って、皆に出むかえを禁じた。父が帰って来て、それに立腹し、母は、私の似顔が上手だとほめてくれた。しかし、翌日からは、元通り、畳に手をついて御挨拶し、父の帽子を帽子掛に飛び上ってかけた。

私は家中の人気者になっていた。おどけてみせることを好んでいた。その頃には、大人から裏切られたかなしさや、かなしさから生まれた警戒心は殆どほぐされていた。そして、ママコであるなど考えもしなくなっていた。私は、普通の少女になり、平凡な生徒になっていた。

第三章

紀元二千六百年というはなはだにぎやかな年が来た。提灯行列や花電車やいろいろな催しがほとんど年中行われた。何故こんな御祭さわぎをするのか子供心に不思議であった。私にとって、二千五百九十九年も、六百年も大差なかった。年を一つとっただけであり、数字嫌いな私には、何年か、何日かということさえ、面倒なことであった。

四年生になると、男女別々の組になった。そのことが、何だか大人の一歩手前まで来たように思われて胸がときめいた。アリーと同じ組になれるように、私は毎日神様にお願いし、それがかなえられた。