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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

線上閱讀久坂 葉子《灰色の記憶(はいいろのきおく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 65,588 字 · 132 頁

青空文庫

それに、在籍人員から出席人員をマイナスすることが容易じゃなく、報告する前に数秒かかって口の中でくりかえし計算し、電車の事故などで遅刻者が多い時など、どうしても副級長に計算してもらわねばならなかった。私の数学に対する頭脳は、小学校三年程度であった。戦争が激しくなるにつれてすっかり女学校も軍隊式になって来、号令やら直立不動やら、このしとやかである女学生もいささかすさんでは来ていた。私は一分として動かずにたっていることが苦しくてそのためたびたびしかられた。又、歩調をとって歩くことも大儀であったから、教練(軍人が来て、鉄砲の打ち方などならう必習時間があった)や体操の時間には列外へ出されたり居残りさされたりして何度も何度もやりなおしを命ぜられた。幹事たる資格は全くないようであるが、私は責任感だけは人一倍強く、いさぎよい位に、罪を一人で背負うことは平気であった。ここが、級友や教師に買われたのかも知れない。

その頃は防空壕を掘ったり、土をはこんだり、畠でいもをこしらえたり、正式の教室内の授業より、作業の方が週に何時間も多く、戦時でやむないとはいえ非常な労働であった。