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つばくろ(つばくろ)

燕(つばくろ)

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《燕(つばくろ)(つばくろ(つばくろ))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 25,395 字 · 52 頁

青空文庫

ことを相手に知らせないというおもいやりが佐藤にはあった、これは口で云うほどたやすいことじゃない、河野、渡貫、沢橋、――私が知っているだけでも、この私を入れて四人が危ないところを、そのおもいやりで助けられたからな」

「ばかなことを云っては困る」

「もうお互いに年だ、こんなことを云うのもこれが最後かもしれない、終りの日の来るまえに、云いたいことは云ったほうがいいと思う、佐藤にしても、いまさらそれでてれることはないだろう」

「いや、てれるというわけではない」又左衛門は火桶の鉄瓶から、湯を湯ざましへ移し、急須と湯ざましとで湯をこなしながら、まるで色褪せた情事を悔みでもするように云った、「――人に云われるまでもない、自分で考えるだけでも冷汗が出るんだ、自分のいやらしさ、わる賢さ、凡俗さというものが思いだされるのでね」

「なにをそう誇張するんだ」

「誇張どころか、もっとはっきり云えば、おれは鼻持ちのならない賤民だったよ」

又左衛門はこなした湯を急須に注いで、その急須をゆっくり三度廻してから盆の上におき、茶筒から茶を出して入れ、そっと蓋をした。このあいだに梶本が云った。