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まきのとみたろうじじょでん

牧野富太郎自叙伝

牧野 富太郎

線上閱讀牧野 富太郎《牧野富太郎自叙伝(まきのとみたろうじじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,045 字 · 185 頁

青空文庫

その頃、「破門草事件」という事件があった。ことの真相を知っているのは今日では私一人であろう。

それは矢田部良吉教授が戸隠山で採集した「とがくししょうま」の標品を、マキシモヴィッチ氏に送った。ところがマキシモヴィッチ氏は、その植物を研究したところ、新種であったので、これに矢田部さんに因んでヤタベア・ジャポニカという名をつけた。それについても少し材料が欲しいから、標品を送るように手紙が教室にきた。この手紙のことをある時、教室の大久保さんが、その頃よく教室にきた伊藤篤太郎君に話した。大久保さんは、伊藤の性質をよく知っているので、この手紙を見せるが、お前が先に名を付けたりしないという約束をした。ところがその後三ヵ月程経ってイギリスの植物雑誌の「ジョーナル・オブ・ボタニイ」誌上に同じ植物に関し伊藤が報告文を載せ、「とがくししょうま」にランザニア・ジャポニカなる学名を付して公表していた。

これを見て、矢田部・大久保両氏は大変怒り、伊藤篤太郎に対し教室出入を禁じてしまった。この事から、「とがくししょうま」の事が「破門草」と呼ばれたわけである。

私は伊藤君は確かに徳義上よろしくなかったが、同情すべき点もあったと思う。