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まきのとみたろうじじょでん

牧野富太郎自叙伝

牧野 富太郎

線上閱讀牧野 富太郎《牧野富太郎自叙伝(まきのとみたろうじじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,045 字 · 185 頁

青空文庫

池野成一郎博士との親交

この苦しい時に、私は歯をくいしばりながら一心に勉強し、千頁以上の論文を書きつづけた。この論文が後に私の学位論文となったものである。

池野成一郎博士との親交

池野成一郎君は明治二十三年東大の植物学教室を卒業したが、私は彼とは極めて親しく交際した。池野と私とは、自然に気が合っていたというのか親友の間柄であった。東京郊外への採集にも二人で屡々出掛けた。アズマツメクサは、明治二十一年日本に産することが、はじめて判った植物だが、これも私と池野とが大箕谷八幡下の田圃で一緒に発見したものだ。池野は非常に学問の出来る秀でた頭脳の持主で、かの世界的発見たるソテツの精虫の発見などは、あまりにも有名な業蹟である。平瀬作五郎のイチョウの精虫発見なども池野に負うところが少なくない。

池野は、はじめから私に対し人一倍親切であったし、私も池野に最も親しみを感じていた。『日本植物志』の刊行に際しても、また矢田部教授の圧迫を受けた時も、私は同君の大いなる助力を受けた。池野の友誼は私の忘れ得ないものだ。

大学卒業後、池野は滅多に植物学教室へ見えなかったが、たまには来た。私は他から「僕は牧野君がいるからそれで行くのだ」