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まきのとみたろうじじょでん

牧野富太郎自叙伝

牧野 富太郎

線上閱讀牧野 富太郎《牧野富太郎自叙伝(まきのとみたろうじじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,045 字 · 185 頁

青空文庫

池長植物研究所

こういって反対をした。それ程私は教室では重宝がられていたものと見える。この反対運動がやかましくなって、今度は私を講師という事にして、また学校へ入れる事になった。以来ずっとこれが今日まで続いているわけである。

これは後の話であるが、停年制のために松村氏が学校を退いた。その時にある新聞に、

「私がどうでもやめねばならぬとすれば、牧野も罷めさせておいて、私はやめる」

松村氏の言として、こんな事が書いてあった。真か偽か知らぬが、とにかく松村氏が私に敵意を持っておったという事は、なかなか深刻なもので、且つ連続的なものであった。しかし松村氏もとうとう私を自由に処分する事は出来ないで、却って講師にしなければならなかったというのは、全く松村氏の面目が潰れたといってよいわけになる。

池長植物研究所

大学で出版しつつあった『大日本植物志』は、こうした中でされたのであるが、これが出ると、その精細な植物の記載文を見て、松村氏は文章が牛の小便のようにだらだら長いとか何とかいってこれに非を打つという風で、私も甚だ面白くない。そこでとうとう棄鉢になって四冊を出しただけで廃してしまった。