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いちろうじん
犬田卯短編集二
犬田 卯
線上閱讀犬田 卯《犬田卯短編集二(いちろうじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 51,383 字 · 103 頁
同年輩の多くのものはすでに子供まで産んでいるし、ただの一度も結婚ばなしのないなどというものは半人だっていなかった。バスの中から声をかけてくれたあのお梅さんだって、そのうしろから顔を見せたお民さんだって何回かの話はあったのだ。ただそれが例の「帯に短かし襷に長し」でまだ決まらないでいるだけなのだ。二人とも、ひょっとすると明日にでもどこかへきまるかも分らないし、いや、すでに内々はきまっているのかも知れないのである。だのに自分は……結局「売れ残り」で、それこそ満州か北支の方へでも流れてゆくのが落ちという運命にとりつかれているのかも知れなかった。
それにしても、どこに自分は欠陥があるのだったろう。人並みに物も考え、他人のいうことも分らなくはないつもりだった。非常な醜女であるとか、どこか脚でも曲っているとか、そういう肉体的な不備でもあるのだったろうか。いや、たとえばいっしょにお風呂へ入ったようなとき、朋輩の誰彼とくらべて見ても、どこに足りないところもないし、よけいなところもなかった。皮膚に白い黒いはあっても、それが嫁入口に障るようなものではなかったし、容貌の点については、彼女は自分がお梅さんやお民さんに比して決して劣りはしないと自信していた。