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いちろうじん

犬田卯短編集二

犬田 卯

線上閱讀犬田 卯《犬田卯短編集二(いちろうじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 51,383 字 · 103 頁

青空文庫

もっともこれらは何千という大口らしく、百や十の単位の小口に対してではなかったのであるが、やがてそれが次第に百や十の、全く忘れられているような小口に対してさえ、同様に物々しい文書が届けられはじめた。それはまるで予期しない恐慌を雪ふかい村々に捲き起した。それに人々はかつてこのような借金の取立て法に遇ったことがなかったので何層倍もびっくりする反面、ただちに反発して『若造』のやり方を詈りはじめもした。古来の抜きがたい習慣を無視してその法律一点張りの、呪われたる督促……それが正月早々からなので、ことに彼らをいきり立たせたのでもあった。

いかにこの新式の方法に対抗したものであるか。無論、その対抗方法はにわかに解決がつかなかった。ある者は昔式に直接出かけて行って若旦那様に面会を申込んだ。が、肝心のその若旦那様は何時も『不在』。たとい広い邸宅の奥の方に姿が見えたにしても、決して店先へなど現れず、依然として『不在』なのである。先代時分には何憚るところなく、奥の方へまでのし込めたような人たちでさえ、事、借金に関する限り、「それは弁護士に一任してあるのだから、俺は知らない」