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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《猟奇の果(りょうきのはて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 頁

青空文庫

芳江が玄関まで追かけて来て、何か云っているのを、背中に感じたが、振向きもしなかった。

反射的に大通りまで歩いて、反射的に手を上げて自動車を呼び止め、運転手が行先を聞くと、出鱈目に「東京駅」と云った。

だが車が走っている間に気が変った。本当の品川四郎に一度逢って見たくもあり、逢わねばならぬ様に思われた。運転手に品川の自宅を告げた。

十時を過ぎていたので、品川はもう床についていたが、電報配達みたいに、やけに戸を叩く音に目を覚し、婆やの取次ぎで、寝間着姿で玄関へ出て来た。

「マア、上り給え。今時分どうしたのさ」

愛之助は、そう云う品川の顔を穴のあく程見つめていたが、

「君、品川君だね。生きているんだね」

と、突拍子もないことを口走った。

「エ、何を云っているんだ。ハハハハ、この夜更けに叩き起して、冗談はよし給え。それよりも、マア、上らないか」

品川は面喰って、ややムッとしながら云った。

「イヤ、それでいいんだ。君が生きていさえすればいいんだ。朝になったらすっかり分るよ。じゃ、左様なら」

その「左様なら」という言葉が、さも長の別れといった、いやに哀れっぽい調子だったので、品川は不審らしく、